クローサー・トゥ・ザ・エッジ

マン島TTレースを題材としたドキュメント映画「クローサー・トゥ・ザ・エッジ」を観てきた。
どうせ浜松ではやらないと思っていたので、シネマe~raさんには感謝である。



マン島TTレースは100年以上の歴史を誇りながら、かつて危険性ゆえにWGPから外された。
それでもマウンテンコースに魅了されてやまない人々はレースを続け、やがてジョイ・ダンロップという巨人を生む。
レースは公道を超高速で駆け抜けるため、毎年事故が後を絶たない。
ジョイ・ダンロップ自身もマン島ではないが、やはり公道レース中の事故で命を落としている。
それでも走り続けるのは何故か。

映画の主人公、ガイ・マーティンは冒頭で、ライダーのことを「頭のネジが何本か緩んでいる」と評している。
ライダーには、決して満たされることのない、絶対的なスピードへの渇望があるのだろう。
一方で、彼らをこちらの世界に引き留めているものは死への恐怖ではないか。
スピードへの渇望と死に対する恐怖。
この二つのアンビバレントな感情の間にある剣が峰(エッジ)の上でかろうじてバランスを保っているのがライダーという人種なのだろう。
どちらかに傾くと、たちまち不本意な結末が彼らを待ち受ける。
死に対する恐怖が勝てば、そこに待つものは敗北であり、スピードへの渇望が勝つと、冥府の扉を開くことになる。
死を予感することは生を実感することに他ならない。
ライダーは決して「頭のネジが緩んだ」人間ではなく、コーナーを駆け抜ける一瞬一瞬を誰よりも豊かに生きている人々なのではないだろうか。

映画では、事故死したライダーの未亡人がこのように語っている。
「死を愛することはできない。でも、死があることを知らずに人生を愛することはできない。」
また、彼女はこうも言う。
「私は人生を楽しみたい。」

今年のマン島TTレースは、ジョイ・ダンロップの甥っ子、マイケル・ダンロップが大活躍したらしい。
ライダー達の魂はマン島においてこれからも受け継がれていく。決して途切れることはない。

ガイ・マーティンやジョン・マクギネスの一言一言がとても含蓄のある至言として心に残った。
あっという間に過ぎた105分だった。
バイク好きの諸兄姉には鑑賞を強くお勧めする。

最後に、松下ヨシナリさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。





映画の公式サイトはこちら。
http://www.laidback.co.jp/tt/





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Author:猫助
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